
エステだけじゃない。更年期ケアは多職種で必要とされている
更年期を迎える女性は、ホルモンバランスの変化により、身体的・精神的にさまざまな不調を感じることがあります。
その症状は肌の変化や痛み、感情の揺らぎまで多岐にわたり、医療だけでなく日常的に利用するサービス職の支えも欠かせません。
美容や健康に関わる職種こそ、こうした変化に気づき、やさしく寄り添う存在としての役割が求められています。
こんな時、どの職種でも求められる「7つの配慮」
更年期女性からこんな声をきくことがあります。そんな時の施術・接客で心がけたい7つの配慮ポイントを紹介します。
・体温調整:「ホットフラッシュの汗で濡れたシーツが後々冷たくて寒くなった」
ホットフラッシュや冷えに対応できるよう、温度管理を柔軟に。
・身体の痛み:「指の関節が痛いのに、ネイルをしようとして急につかまれ引っ張られて涙が出るほど痛かった」
施術中の体勢や圧の強さ、椅子の高さなどに気を配る。
・肌の敏感さ:「いつも使っていた製品なのに、急にひりひり感じた」
低刺激の製品選びや、摩擦の少ない施術を心がける。
・乾燥:「施術中、喉が渇いてしまった」
空調による乾燥や肌の状態に配慮した環境づくり。
・眠気・疲労:「気持ちよくて眠たかったのに話かけられて眠れなかった」
無理をさせず、リラックスしてもらえる進行を。
・感情の揺れ(イライラ):「今の自分の不安を話したが、みんなそうですよ‥と言われた」
急な不安やイライラを受け止め、否定しない対応。
・キャンセル・体調変化:「どうしても体調が悪く当日キャンセルしたら、今度からドタキャン禁止ですと言われた」
体調の波に理解を示し、柔軟な予約対応を。
また、施術や接触の際には「〇〇を触りますね」「痛くありませんか?」「力加減は大丈夫ですか?」といった、こまめな声かけや都度の確認がとても大切です。
更年期の影響で身体が敏感になっている場合もあるため、やさしいコミュニケーションが信頼と安心につながります。
実はこんな職種も「寄り添う力」が求められている
● 美容師:長時間座ることの負担、頭皮の敏感さに配慮。
会話の内容や雰囲気づくりも重要です。
● 整体師/鍼灸師:痛みや身体のこわばりへの理解が深く、日によって異なる不調への対応力が求められます。
● パーソナルトレーナー:疲れやすさや関節の違和感に合わせ、無理のない運動指導がカギになります。
● ネイリスト・アイリスト:座り姿勢や冷え、香りへの反応にも注意を。
● 看護師・保健師・助産師:更年期の心身の変化に理解が深く、信頼される存在としての関わりが期待されます。
● ヨガ・ピラティス講師:その日の体調や気分に合わせた柔軟なプログラム提供が求められます。
「気づく力」から始まる、信頼と安心の関係
更年期のクライエントは、自分でも変化に気づいていないことがあります。
そんなとき、施術中の何気ないサインから変化を察知し、必要に応じて受診やセルフケアを提案できるのは、現場で関わる皆さんの「気づく力」です。
その一言が、信頼と安心感を生み出します。
こうした配慮が、他のサービスとの差別化につながる
更年期女性への配慮ができるかどうかは、サービスの満足度を大きく左右します。
「ここまで気にかけてくれるなんて」「わたしのことをわかってくれている」と感じたとき、クライエントの信頼やリピート率は格段に高まります。
それは、技術だけでは得られない“心に届くケア”の力です。
同じようなメニューを提供していても、寄り添いの姿勢があるかどうかで、選ばれる理由が変わってきます。
これからの時代、サービスの価値は“どれだけ相手に合わせられるか”にかかっています。
どんな職種でも、更年期女性の心身の変化に寄り添い、対応する力が求められています。
小さな気配りや配慮が、クライエントにとって「また来たい」と思える大きな理由になります。
知識を持ち、実践を重ねることで、サービスの質も信頼も深まります。
“わたしのことをわかってくれる人”として、選ばれる存在になっていきましょう。